塾でペチペチに叩かれた話
中学生の受験シーズン、つまり中三の時に塾に通っていた。
勉強は本当に嫌いだったが、友達もみんな塾に行きだしたからとかそんな理由で塾に通いだした。
同じ中学からも何十人も通っていたので、ほぼ学校みたいな感じで楽しかった。
しかし塾の本来の目的は楽しむことではない。勉強をすることだ。
他の中学の生徒とも仲良くなった僕は真面目に勉強をしなかった。
だらだらと授業を受け、休み時間には新しくできた友達とコンビニにお菓子を買いに行く。これが楽しみであった。
今考えると本当に親には申し訳ないことをしたと思っている。そのくらい勉強をしなかった。
他のちゃんと勉強しなかった理由としては、当時行きたかった志望校がめちゃめちゃ簡単だったというのもある。
あのなんか模試的なやつで、ほぼ100%受かりますみたいな結果が出ていたためなおさら勉強をしなかった。
その塾は5クラスほどに分かれていた。頭が良い順に。
僕は上から三番目ととても微妙なクラスにいたのだが、一番上のクラスに僕の諸学校からの親友がいた。
彼とは今まで何年も一緒に遊んできてまさに親友であった。
そんな彼と土曜日のお昼に近くのスーパーにお昼ご飯を買いに行っていたところ、他の中学の友達にあった。
彼らは塾以外で仲良くなった友達であり、塾には属していなかった。
久しぶりに会って少し話し、なぜかそいつらも塾に来ることになった。
どうやら塾の授業を受けてみたいらしい。授業に忍び込むと言っていた。
今思うとなぜあの時忍び込む前に止めなかったのかと思うが、その当時の僕らには楽しいことの方が優先順位が上であり、全くそんなことを思わなかった。
そして彼らは授業に忍び込み、授業を受けようと試みたのだが、まあ普通に先生にばれる。そして先生は怒る。
誰?どこの中学?なんでここにいるの?誰の友達?
先生は友達に質問攻めをした。なぜか友達も何も包み隠さず全部答えた。
そいて次に呼び出しをくらうのはもちろん僕と親友。
塾長の部屋、学校でいう校長室のような部屋に呼び出された。
塾長はカンカンに怒っていた。なぜ彼らを入れたのかと。
さすがに僕らも自分たちがしたことなので素直に謝った。最初は。
しかしガミガミと怒る塾長はどんどんエスカレートしていき、どんどん顔を赤くしていった。
そして友達の頭をペシッと叩いた。
その時のことは今でもしっかり記憶に残っている。
塾長のとてもクセのある叩き方は頭の真上から垂直に叩くという叩き方だった。
そうすると綺麗にペシッという音が塾長室に響き渡る。
そのシュールさといったら、もう笑いを抑えることは不可能だった。
僕はおもわず噴き出し、声を出して笑ってしまった。
あの緊張感あふれる空気感の中でのシュールな音といい、叩かれ具合といい、爆笑した。
隣を見ると親友ももちろん爆笑していた。僕らは結構笑いのツボが似ている。
二人してゲラゲラ笑ってしまった。
そんなことをすれば塾長はさらに怒るに決まっている。
何が面白いんだと、さらに僕らを独特な叩き方で叩きまくった。
しかし、僕らを叩けば叩くほど僕らの笑いは収まらない。
なんだかんだで15分くらい叩かれては笑い、叩かれては笑いの繰り返しをしていた。
しかし最後まで僕らは何で笑っているかを言わなかった。
そして塾長は叩き疲れてもういい、いけ。といってきた。
今じゃそんなに笑えないが当時はその後部屋を出てからも二人でずっと爆笑していたのを覚えている。
そんなことをテレビで爆笑している人をポカーンと眺めていて思い出した。