フランス人とスニーカーと山
先週の土曜日は試合だった。
試合という名の登山だった。
家の後ろに大きな山がある。
その山はそれほど高くはない。
たまに天気の悪い日は霧で頂上が隠れるか、隠れないかくらいの高さだ。
あの山の情報はかるーく知っていた。
共にステイしているフランス人にちょこちょこ話を聞いていた。
登ったことがあるらしい。
景色はめちゃくちゃ綺麗だったよと言っていた。
高さもそれほどないからスニーカーでも登れるよと話していた。
そして週末フランス人の友達2人はバンクーバーの街に繰り出し、家を留守にしていた。
なんか自分だけ、家にいて非リア感をじわじわ感じていたので山に挑戦することにした。
言われた通りスニーカーで向かった。
水と携帯だけ持って。
登山道の入り口までおばあさんに送ってもらった。
まるで息子を戦争に送り出すかのように心配した顔をしつつも、
行って来なさい。
といった感情のおばあさんに送ってもらった。
そこから1人で登った。
歩いて10分くらいして、速攻立ち止まった。
思った以上にきついと思った。
過去に富士山に登ったことがあるが、富士山以上に道は険しく、度々手を使わないと登れないようなところも出てくる。
普通にスニーカーは適していない。
泥まみれになるし、滑りやすいし。
あのフランス人を自分と同じだと思ったのが間違いだった。
この険しい山をスニーカーで登るような超人なのだ彼らは。
しかも、木が全てとても背が高いため、太陽さんさんにも関わらず、登山道は薄暗い。
おばあさんにせっかく送ってもらったし、登るしかないよな〜。
と思いながら仕方なく30分ほど歩いた。
まだまだ全然目的のスポットには到着しない。
この登山道をどうやってスニーカーで登ったんだよ。
綺麗な自然で綺麗な空気を吸いながら自然を感じて楽しみたかったが、ぼくの頭にはスニーカーの疑問しかなかった。
ひたすら歩いて歩いて、目的地に到着した。
見晴らしが良いところだ。
雲が少しあったが、他の島などがたくさん見えた。
達成感がすごかった。
1人で黙々と登山をしたのははじめてだったが、悪くはないなと思った。
綺麗な景色を見つつ、視線が泥だらけになったスニーカーにいった。
これで帰るのか。
ぐちゃぐちゃのスニーカーでぐちゃぐちゃと歩くたびに音を立てながら帰った。
山の景色は素晴らしく、良い週末のリフレッシュになった。
それと僕の中でフランス人がスニーカーで登れるよという情報の信ぴょう性がほぼゼロになった。
ある程度の山をスニーカーで登れるという情報を発信するフランス人は彼らだけだと信じたい。