怒って覚醒することもある。
なんか目覚めの悪い朝だった。アラームを止め体を起こそうと試みたが体がすごく重たかった。半分体を無理やり動かすようにコーヒーを作りに行った。お湯を沸かしていたくらいに共に住むアメリカ人が起きてきた。
コーヒーを飲むととても味が薄い薄すぎて目が覚めたのかなんだこりゃと驚いてしまった。ポットの中を見てみるといつも入れているコーヒー豆を挽いた粉がいつもの半分くらいしか入っていなかった。寝ぼけていたのか何も考えてなさすぎていたのか無意識のうちにその量にしてしまっていた。アメリカ人に一応謝るとたまには薄いのも飲みたいよねとやさしすぎる返答をもらった。
そんな感じで朝から不調の今日であったがその後にさらに最悪なことが起きた。
ご飯も食べ終わりよし動き出すかという感じの時にホストが僕に発電機に給油をするように指示してきた。いつものように発電機のところに向かった。ここは山のなかなので電気を引っ張ってくることができない。そのため発電機とソーラーパネルを利用しているのだが、何か作業をする時には発電機を使わなければいけなかった。そんなこんなで給油をしているとガソリンの入っていた缶がもうじき空になるのか給油が止まってしまった。その缶は縦長なので壁に立てかけるように斜めの状態をキープしていた。すると風でその感がひっくり返ってしまった。めんどくさいなあと思いながらも缶を拾いに行くとチューブと缶をつないでいる金具のようなとこから地面に落ちてしまいそこのパーツが壊れてしまっていた。
今日はなんかついていないなあと思いながらもホストに報告せねばとホストの元へ向かった。そして壊れてしまったことを告げると僕の思っていた10倍以上の反応をした。とてもキレてきた。なんで注意しなかったんだよから始まり僕に対して直接言ってきているわけではないが汚い言葉を発しまくっていた。
僕にもガミガミと怒ってきた。僕が悪いことは百も承知だがそこまで怒られるのかという気持ちとこれ以上こいつの発言を聞いていても意味がないという気持ちが合体してしまい僕まですごいイライラしてきてしまった。
誤った後に言ったが、今日の作業が終わったら街に行って同じ部品を弁償するよと言ったのにもかかわらずとてつもないガンギレを見せてきた。
そしてイライラの限界を迎えてしまった僕はついにこちらからも反論を死まくってしまった。その時の感覚が新鮮すぎて今でも覚えている。普段よりも明らかに速いペースでスラスラと英語をしゃべり反論することができていた。イライラしながら反論していた反面なんか今俺めちゃくちゃいい感じに喋ってるじゃんと気持ちも生まれ頭の中は複雑なことになっていた。
僕が言い返すとさらにホストは怒る。このラリーを三回ほど繰り返したが本当に意味のないことに気づきとりあえず謝って話を終わらせた。ホストがなぜあそこまでイライラしていたのかはさっぱりわからないが、もし仮にホストが僕が謝る前に何かでイライラしていてそのまま僕のことにもぶつけてきていたのなら、ホストも少なからず悪いはずだ。僕がそもそも悪いのは大前提だが、他のことで人に当たることはよくない。言ってしまえばホストが僕と話す前にイライラしていたことは僕には全く無関係なのだ。
なんだかんだでお昼を食べ終わったくらいからお互いいつも通りに話すようになり今では朝の喧嘩が夢のようなので一安心だ。しっかり謝ったし新しい部品も買ってきた。でも面白いのが怒った時に考えずにすらすら話せたあの感覚だ。怒ると脳が知性化でもするのだろうか。興味深い。